仕事は何のため?
最初は、ただ社会人として自立するためには、仕事をしなければ、生活が出来ないので、何のために働くのかという事は、考えていませんでした。
この仕事を選んだのも、独立して出来る仕事で、面白そうだからという理由で、歯科医療を通じて人の役に立とうという志で選んだ訳ではありませんでした。
実際に矯正治療の仕事に取り組んでいくと、想像していた通り、大変面白い仕事で、思った通りに治療が進んだり、美しい治療結果が得られると、非常に満足感があります。
元来、職人気質のため、いい仕事がしたいという気持ちは、常にありますので、理想的な治療を追求したいと考えるのは、ごく自然な事でした。
自分のクリニックを開業したいと思ったのも、人の制約を受けずに、自分のやりたい治療を自由にやりたいという気持ちからでした。
ところが、だんだんと理想的な治療結果を追求したいという自分の思いと、患者様が望んでいる事に、しばしばズレがある事を感じるようになりました。
自分が人に自慢出来るような、きれいな治療結果を出したいと考えて治療していると、その事に協力してくれない患者様に内心腹を立ててしまう事もありました。
患者様は、自分自身の幸せのためだったり、保護者の方が、お子様の幸せを願って、わざわざ私達のクリニックに足を運び、大切なお金を支払って治療を受けているのに、治療する側が、自分の満足を追求するのは、人として間違っているのではないかと思うようになりました。
そう考えると、大切な事は、矯正治療の結果だけではなく、一生歯をよい状態に保っていくための予防歯科だったり、気分よく通っていただけるための心暖まるような接遇であったり、理想的な矯正歯科クリニックを作りたいという気持ちに変わっていきました。
「患者様の幸せの役に立つ事を目的とし、患者様に喜んでいただく事を目標とします」
というモットーは、言葉にすると当たり前過ぎるような気もしますが、自分自身に対する戒めでもあり、迷った時は、このモットーを原点に考えて生きていきたいと思います。